お寺とふれあう夏の思い出

 平成30年7月30日に第9回泉蔵院子供ふれあい道場が開催されました。
 毎年、小学校の夏休み期間中に小学3年生から6年生を対象に子供道場を開催しており、今年で9回目を迎えました。 そもそも子供道場を開催しましたのは、時代の移り変わりの中でお寺との交流が少なくなってきていること。 また、次世代の子供たちにお寺を通じて人とのつながりや普段、目にすることがない非日常的な空間(お寺)の中で学校では学べないことを体験し学んでもらおうと思ったのがきっかけであります。

 9回目となる子供ふれあい道場においては今回初めての試みであるお披露目会を行いました。 お披露目会では将来の夢を発表してもらい、その様子を当山の記録としてホームページに掲載すること。 また、今回、参加いただいた子供たちが大人になった時にいつでも自分の夢・子供の時の自分を見れるように記録と掲載することを目的としたものです。
 また、今年の工作は風鈴づくりを行いました。 各々、オリジナルの風鈴を作り、平成最後の夏の思い出となりました。

 来年の日程はお昼に集合し夜に終了する日程になっております。 一年ごとにタイムスケジュールを変えての開催となっており、一つの特色でもあります。
 初めは緊張していた子供たちも徐々に周りと打ち解け、楽しみながらも一生懸命に取り組む姿を見ることが出来ました。
 個人的にはまだまだ指導力不足ではありますが、今後、子供道場の活動において、より多くの智恵と経験を授けられたらと思っております。

合掌

【日程】

八時三十分

集合・受付

八時四十分

開講式・本尊法楽・住職挨拶
日程説明・注意事項・記念写真

九時十分

自己紹介・勤行式・食作法指導

十時十分

寺内案内

十時五十分

瞑想

十一時二十分

作務(本堂・境内)

十一時五十分

昼食(食作法)

十二時五十分

お披露目会

十三時三十分

工作(風鈴づくり)

十四時二十分

工作物奉納・勤行式唱和

十四時四十分

すいか割り

十五時四十分

感想文

十六時十分

修了式 (修了証・お守り贈呈)

十六時三十分

解散

(2018.10)
TOPヘ


一年の終わり

 今年も残すところ、あとわずかとなりました。
 一年経つのも早いもので今年を振り返ると、台風による災害が国内外問わず起こり、被害は甚大なものでありましたが、改めて今の自分に出来る事を行い、世界平和・国土安穏・萬民豊楽を日々願い祈らせて頂いているわけですが、日々生きていく中で皆さまはいつ願い・祈っているでしょうか?
 全く祈ることがない人もいれば、亡くなった方に対して祈る方や仏さまに祈る方もおり、願う対象や祈る形というのはそれぞれであると思いますが、願い祈る上で大事な事は、まず信心が必要であり、そして、願う上で努力が必要であること。 また、信じ貫き、努力を行った結果として願いが通じ、形になり、願いが叶うのであります。  信じきれず、日々の生活の中で努力を怠れば、反対に罰があたるのでしょうし、仏さまは願い祈る人たちの努力している姿を見ているということと心の中をも見透かしているので、不満や不安のない心の状態で頑張っている姿・努力を行うことによって、認めてもらい、見守って頂けるのであると感じております。

 泉蔵院での年間行事において、毎年7月に子供道場が開催されていますが、参加される子供たちには命の尊さや瞑想においては心の在り方を一番に考えて指導させて頂くわけですが、最終的には写経や写仏を行ったあとにお経を読む際、皆で願い祈ります。 願う上での大事なことは上記のとおり、信心と願いに値する努力と言いましたが、それらをしっかり行えたとしても世の中や人に対して思いやりのない内容は受け入れられません。 ですので、日々の生活の中で自己にとらわれることなく、こだわることなく、世のため・人のためになるよう心がけて頂き、清浄な心をもって、一心に願うことこそが神仏に通じ、喜びに変わるのであるとも感じております。
 一年は長いようで短いです。一つ一つを一生懸命に行い、時間の無駄にならないように正しい努力を心がけ、今を大事にして頂ければと思います。

合掌

(2013.12)
TOPヘ


十善戒

 早いもので2012年も3月になり、未曾有の大災害となった東日本大震災から1年経ちました。
 津波の被害は甚大なものであり、それによって福島原発による放射性物質漏れという重大な事故が発生しました。
 当日は、地震がくる前にはサイレンが鳴り、お寺の山門、鐘楼堂などの木造の建物がギシギシと音をたてて揺れ響きました。 その後も度重なる余震が続き、この世の終わりかと思う程のものでした。
 當山は、幸いにも被害は少なかったわけですが、東北地方においては地震によるものだけではなく、津波や原発の影響により今もなお復興のめどが立たず、避難所や仮設住宅において不便な生活を余儀なくされておられる方々や、地元を離れ遠方で暮らしておられる方々がたくさんいます。 この大震災を風化することなく、我々は微力ながらも、復興への協力・活動を続けて行うことが大事なことであると思われます。
 お勤めにおいて、亡き被災者に対するご供養と復興祈願を行っておりますが、その一環として昨年の8月下旬に青年会の集まりで富士山に登拝修行へ行ってまいりました。
 14名の参加者のもと、富士山の5合目から頂上を目指し、登り初めの5合目で天気にも恵まれ、御来光を拝むことができましたが、登ることにより、自分の悔いをあらため、生きているあらゆる命を大事にすること・物事を大切にすることを深く考えさせられました。 山頂の神社で、一日でも早い復興を祈願し、全員が無事登りきれたことに対して御礼をしました。
 本年の干支は辰年であります。 皆さまが昇り龍の如く躍動し、実りある良い年であるようお祈り申し上げます。
 さて、今回は十善戒について少しお話させて頂きます。 十善戒とは、仏教において十の善(良)い教えを説かれた戒律であります。
不殺生:生命を大切にし、故意に生き物を傷つけたり、殺さないこと。
不偸盗:盗みをしないこと。
不邪淫:みだらな性的関係をしないこと。お互いを尊敬し合うこと。
不妄語:嘘をつかないこと。
不綺語:相手を尊重し、無駄な噂話や無意味な話をしないこと。
不悪口:乱暴な言葉を使わず、優しい言葉を使うこと。
不両舌:思いやりの心を持ち、他人を仲違いさせるような言葉を使わないこと。
不慳貪:異常な欲を持たないこと。欲深いことをしない。
不瞋恚:異常な怒りを持たないこと。にこやかな毎日を過ごすことを心がける。
不邪見:間違った考えや偏った考え方をしない。正しい判断をすること。

 以上の教えを十善戒といいますが、このように今までの日々の生活を振り返り、良い習慣を心がけ実践することにより、より一層の幸せな生活を築き上げられるのではないかと思います。

合掌

(2012.03)
TOPヘ


霊峰富士第四箇度登拝修行 第弐

あけましておめでとうございます。
泉蔵院のホームページを開設して早くも1年が経ちました。年が移り往くのも早いもので、今年の5月には開創700年として庫裏・聖天堂の落慶法要を行う予定でございます。
今年は、卯年ということもあり、さらなる飛躍をお祈り申し上げ、私もそのようになるため一層の精進をして参りたいと思います。
さて今回は、前回に引き続き「霊峰富士第四箇度登拝修行」の続報をお伝えいたします。
◆4日目(富士山五合目〜八合目) 5日目(八合目〜山頂)
3日目に五合目へ辿り着き、その日までの修行を終えた後、宿泊先の佐藤小屋にて身支度を整え、夕食をいただきました。
ご飯をいただくという、ごく自然のことに対してありがたみを感じ、明日に向け気持ちを切り替えるには有意義な時間を過ごすことができました。
翌朝、宿泊先の佐藤小屋の方たちにお礼と法楽を行い、五合目を出発しました。
しばらくすると、吉田口から河口湖口に合流をしましたが、代わり映えのない無尽に続く道に「いつまで続くのだろうか・・・」と思い、周りの景色は霧で何も見えないため、先輩方の指示に従い、ひたすらに道を進み続けました。
七合目を迎えたころには、目の前に岩場が現われ、足を踏み外さないよう岩を掴みながら一つ一つ登りましたが、前日に登った道とは打って変って姿を変えた富士山に醍醐味と自然の凄みを感じました。
道を進んで行くと、学校の課外授業による中学生たちが休憩をしていたり、外国人の方々、走って登っていく方々がいました。富士山には様々な人々が集まり、山頂に向かうという目標は一緒でも、進む過程の上では眼に見える景色や風景はその人、その人によって全く違うのであろうと感じました。
この日は八合目まで登り、次の日(5日目・最終日)・午前1時より山頂を目指して出発しましたが、辺りは真っ暗で八合目より下にある宿泊所のライトが綺麗に輝いておりました。山頂に近づくにつれ、次第に空気も薄くなり、雨風も強くなる中で、やっとたどり着きましたが、この日の天候があまりよくなかったこともあり、ご来光を拝むことはできませんでした。

山頂では、「富士山頂奥宮」を参拝・法楽を行い、最後は日本最高峰である「剣ヶ峰」へ向かいました。登りきる事が出来たという達成感が湧きましたが、今回無事に「霊峰富士第四箇度登拝修行」を達成することができたのは、決して一人だけの力ではなく、仏さまを始め、一緒に登った方々や高尾山修験道の方々、宿泊先でお世話になった方々、家族による、全ての方々の力添えがあっての、「富士登拝修行成満」でありました。
この経験を今後に活かすことができるよう、苦難を跳び超え・目標を向かって行けたらと思います。どうぞ、本年もよろしくお願いします。

合掌

(2011.01)
TOPヘ


霊峰富士第四箇度登拝修行

去る7月、高尾山・薬王院主催による「修験道・富士登拝徒歩修行」を行なってきました。
7月3日〜7日の5日間で行なわれ、最初の2日間で高尾山から宿泊先である富士吉田・大国屋まで歩くのでありますが、私は自坊でのお勤めがあったため、5日(3日目)からの参加となりました。
4日の夜に宿泊先・大国屋で合流したのですが、以前に参加した方々の体験談を聞き、初めての登拝である私にあらためて緊張と不安がよぎりました。
◆3日目(宿泊先・大国屋〜浅間神社〜吉田胎内〜富士山一合目〜富士山五合目まで)
お世話になった大国屋の方々に感謝を込め、法楽を行い、いざ出発。
富士山本宮浅間大社(浅間神社)にて参拝・法楽を行い、「無事登拝できますように・・・」と祈りを奉げ、山道へ。
歩きながら『慚愧懺悔・六根清浄』と唱え、ひたすら突き進む。
周りをたくさんの木々や草に囲まれ、我々しかいない山道に響き渡る声。
途中、「吉田胎内」(富士山の溶岩でできた洞窟)に場所を移し、関係者の方々から特別に洞窟の説明と案内をしていただきました。
この場所で我々は生まれ変わりを果たし、修行のはじまりとなるのであります。
その後、長い長い坂道を登り、やっと着いたのが富士山の一合目入口。
思わず「これから一合目なのか・・・」と、空と山を見上げつつ、気を取り直して再度目標の五合目へ。
先程よりも険しい道の中、「修行は甘くない」「なにがなんでも登ってやる」と自分自身と格闘しながら、一合目〜五合目の途中、途中で「十界修行」を行い、毎度気持ちを入れ替えて登りました。

十 界

六 道

地獄界

餓鬼界

畜生界

修羅界

人界

天上界

四聖道

声聞界

縁覚界

菩薩界

仏界

変わらない景色の中、一歩一歩、足を運び、気づけば無の状態で歩いていましたが、自然と山の空気を吸い、心が浄化されているような気がしました。
五合目へ辿り着いたときには、自然と笑みがこぼれ、まだまだ頂上には程遠いのですが、無事着いた事に対し、嬉しさと達成感に満ち溢れ、今回の経験は私の中で、新しい扉を開いたような感覚でありました。

※次回は、引き続き4日目(五合目〜)からの話をさせていただきます。

合掌

(2010.09)
TOPヘ


一心不乱

4月を迎え、霊園にある桜も満開に咲きました。
春といえば桜を思い浮かべる方も多数いらっしゃると思いますが、季節を代表するもの 【春・桜、夏・蝉、秋・紅葉、冬・雪など】 は全て強い印象を与えております。
季節を感じるものがあるのは日本特有であり、季節的における事柄・仏事にはお墓参りがございます。必ず彼岸やお盆などには、たくさんの方々がお墓参りを致します。
お寺に来た際にお墓参りだけではなく、お寺として何かできることはないのか?ということを考え、3月20日(土)に春彼岸会コンサート並びに春彼岸会法要を開催致しました。

当山においては今回初めての試みであり、たくさんの方々にご参加頂きました。
春彼岸会コンサートに関しましては、奏者・き乃はち氏による魂の込められた尺八を通しまして、感銘を受けました。
すばらしい音色とともに本堂内に響き渡る尺八。
またそれを奏でる、き乃はち氏。
尺八を聞いていた方々は、他のものに気をとられない程・皆同じ気持ちで、き乃はち氏の持つ世界観に入り込んでおりました。
私自身、今まで尺八を聞いたことがなかったのですが、自坊にて演奏を聴けたことは貴重な経験ですし、お子様から年配の方まで年代問わず、心に響くもの・想いがあったと思います。
特に小さいお子様や若い方は、尺八という音楽とふれあう機会が少ないので存分に楽しんで頂けたのではないかと思います。
また、その後の法要では、ご参列された方々の気持ち「亡き故人の方をご供養したい」という思いを受け持ちまして、心を込めてお経をあげさせて頂きました。
今回の法要を通しまして、改めてお寺というのは、お墓参りや法事など限られたことだけではなく、今回のようにコンサートや落語会など様々な内容を含め、お寺でできることの可能性を実感致しました。
皆さまにおかれましては、お仏壇や墓前などにて普段から合掌を することがありますが、昔の歌に「右仏 左は我と 合わす手のうちぞゆかしき南無の一声」とあります。合掌というのは右手が仏さまの世界を表しており、左手は我々が住む世界(人)を表しております。右手と左手を重ねることにより、仏さまの世界と我々が住む人間の世界との縁を結ぶのであります。即ち、我々と仏さま・亡くなった方々は永遠につながっているといったことを念頭に置きまして、常日頃から心を込めて合掌してみてはいかがでしょうか?

合掌

(2010.04)
TOPヘ


はじめに

泉蔵院ホームページを御覧の皆様、新年明けましておめでとうございます。
泉蔵院に昨年4月より勤めております、山口 弘隆と申します。
本年より泉蔵院のホームページを開設致しまして、お寺の活動や案内を配信していきますので御覧いただけると幸いでございます。
ホームページを開設したことを機に、心新たに勤めていき、より多くの方々と通じ合い、お寺のことを知って頂けたらと思っている次第でございます。
PCにおけるインターネットというのは、非常に便利なもので、足を運ばなくても現地の情報や知りたい情報を得ることができるといったことから、現代において有効活用されております。
また、近年におきましては本などよりもインターネットから情報を取り得る方々が多いのではないでしょうか?
しかし、現代社会において色々な情報が飛び交っているのは、 良いことだけではなく使い方によっては悪質な行為にも使われており、知りたい情報というのも、正しいものだけではなく間違ったものもあるので信用できる情報は必ずしも多くないわけでございます。
情報というのはそもそも他人の考え・経験してきたことが主でありますが、自ら体験してきたこと・眼で見たものこそが本来の信用できる情報であり、それが自分にとっての糧となるのではないでしょうか。また、何にも囚われないというのも大事なのかもしれません。今後、「自分を見つめ直すとともに、皆さまにもきっかけを与えられるようなこと」をテーマに御法話として私のページを作成し、発信していきますのでよろしくお願い致します。

新年を迎えましたが、近年におきましては、一人よがりの目立つ世の中になりました。犯罪事件・ecoの問題・マナー・常識的な事柄・・・・こうした中で、人は一人では生きていけない・自分だけのものではない・出会いがあるからこそ、助け合う心・分かちあう心を持つことが大事なのではないかと思われます。
明恵上人の「阿留辺畿夜宇和(あるべきようわ)」という言葉がございます。
人として、ありのまま生きる(自分だけが良ければそれでいい)のではなく、あるべき姿(社会において悪い行いをしない・努力を惜しまず生活をする)を説かれました。
現在をより良くするために、心改め生活をすること、自分を見失わない精神的な支えとなる考えであろうかと思われます。
新年を迎えたばかりではございますが、新たな気持ちを持ち、知識を活かし、安居楽業となることを祈りまして、日々お過ごし頂けたらと思います。

合掌

(2010.01)
TOPヘ