聖天堂奉納障壁画完成

 かねてより(約1ヶ年前)依頼しておりました聖天堂に奉納する日本画が完成し、来る11月6日(1日のみ)、聖天堂に奉納する前に書院に於て檀信徒にお披露目を致します。
 この画は聖天堂建立を記念して住職が奉納するもので、図柄は「鳳凰(ほうおう)」、一対の形をとり一枚の画は横180cm、縦180cmの大きさで壁に直接取り付け、障壁画の形とするものであります。
 この画を描かれたのは高知県須崎市在住の片岡宣久画伯であり、約1年の歳月をかけた画伯渾身(こんしん)の作であります。
 題材として、私からお願いしたのは「鳳凰」であります。
 鳳凰は本来、聖徳の天子の兆(きざ)しとして現われるとされており、古来、中国では麒麟(きりん)、亀、龍と共に四瑞(しずい=四つのめでたい印)として尊ばれた想像上の瑞鳥で五色絢爛(ごしきけんらん)の姿をしております。
 桐(きり)の樹に住み、竹の実を食し、醴泉(れいせん)を飲むといわれています。
 鳳凰の画で著名なのは、京都御所の障壁画である「桐竹鳳凰図」(狩野永岳筆)であり、当時天皇が日常を過ごされた御常御殿(おつねごてん)の上段の間に描かれております。 このように本来は天皇家に深い係わりのある鳳凰でありますが、一説に依ると鳳凰はガルーダ、金翅鳥(こんじちょう)と同一視され、その象徴たる迦楼羅(かるら)は大自在天の化身であり、聖天尊の男天と本地は等しいとされております。
 このような由来を知ったのは、実はこの画を片岡画伯に依頼した後のことであり、聖天尊の導きを深く感じることとなりました。 この当山の鳳凰図画は大変素晴らしい出来映えであり、特に雄(オス)の鳳(ほう=向って右側)に答えるように雌(メス)の凰(おう=向って左側)が振り返っている様が印象的であります。
 これより永く聖天尊をお護りし当山の宝物となることと思います。

聖天堂に奉納後の鳳凰図
片岡宣久画伯 略歴
1943年(昭和18年)高知市に生まれる
1969年(昭和44年)日本美術院展初入選 以後 秋季13回 春季10回入選
1970年(昭和45年)東京芸術大学美術学部大学院(日本画科)修了(田中青坪教室)
1973年(昭和48年)道玄坂センタービル画廊(渋谷)にて個展
1974年(昭和49年)浜幸画廊(高知市)にて個展
1977年(昭和52年)四枝会展出品(東京資生堂ギャラリー)(以後2回)
1978年(昭和53年)東京セントラル美術館日本画大賞展入選
1980年(昭和55年) 遊星展出品(東京資生堂ギャラリー)(以後3回)
高知大丸にて個展(同85年、87年、90年)
1981年(昭和56年)大手町画廊にて個展(東京)
1982年(昭和57年)高知県立郷土文化会館賞展出品(以後5回)
1984年(昭和59年)日本画その明日への展望展出品(池袋西武)
1986年(昭和61年)栗原画廊にて個展(東京)(同88年)
1987年(昭和62年)丸広百貨店にて個展(埼玉)
1988年(昭和63年)伊勢丹百貨店にて個展(埼玉)
1989年(平成元年)阪神百貨店にて個展(大阪)
以降、地元高知大丸にて個展多数

合掌
2012年11月1日