「大壇荘厳(だいだんしょうごん)」について

 当山は35年前に新本堂を建立する前より、本堂内陣に護摩壇を安置し年に数回、護摩供を修してきましたが、5年前に不動堂を建立してより毎月28日にこちらのお堂で不動護摩供を厳修しています。
 よって、この度、本堂の護摩壇を改修して大壇に作り替えることにいたしました。
 そもそも大壇とは「大曼荼羅壇(だいまんだらだん)」をいい、真言密教は「胎壇金法(たいだんこんぽう)」といって「大壇を胎蔵に構え行者は金剛界の修法を行ずる」とされる。
 また、この大壇上の中央には「塔」を安置することになっており、塔の種類として「五輪塔」は五大であり胎蔵界大日を表わし「多宝塔」は識大で金剛界大日を表わし「瑜祇塔(ゆぎとう)」は南天の鉄塔を表わすとされる。
 しかしながら我々一般末寺においては、どのような塔を祀り、どのような壇荘厳をしたらよいのか勉強不足もあってもう一つ理解ができないところでした。参考に各寺の大壇を見ると大方の寺では多宝塔を祀っている例が多いようです。
 ただ、密教事相体系や密教大辞典、そして智山法要便覧などの「大壇荘厳図」を見ると全て「五種鈴杵」を配置した形となっています。
 我々一般の寺では壇荘厳も一度お祀りしたら、後でまた別の形にすることはなかなかできないことなので、本来の壇の荘厳は大事なことであると思います。
 そこで、過日、布施能化様に人を介して壇荘厳についてお聞きする機会を得たところ、当流の大壇荘厳は「五種鈴杵を祀ることが本来である」との確証を頂きました。
 よって早速、京都の鋳物仏器製造所へ五種鈴杵、四面器、輪宝、羯磨、五瓶、四橛等一式を発注しました。
 五種鈴杵のうち、五種金剛杵は金剛界五仏の三昧耶身にして五部五智の内證を示し、五種鈴はその外用たる説法を表わすとされる。
 即ち、塔は仏部大日にして法界体性智、五股は金剛部、大円鏡智、宝珠は宝部、平等性智、独股は蓮華部、妙観察智、三股は羯磨部、成所作智なりとされる。 そして壇中央には宝塔鈴杵、東方には五鈷鈴杵、南方には宝珠鈴杵、西方には独鈷鈴杵、北方には三鈷鈴杵を置くとされる。
 このようにして大壇は本尊大日如来の内証たる五智五仏の大曼荼羅の世界を具現化したものとなるのである。
 密教の観法は修法の「道場観」を見ても分かるように全て仏さまの三昧耶、表徴として掟(とら)えるものであり、実践事相を旨とする真言密教は大日如来の働きを少しでも"顕現する荘厳"が必要であると思うのです。
 本年は私が当山に晋山してより50年という節目の年に当り、ご本尊様に最後のご奉仕として、そして後の時代に"あるべき形"を遺(のこ)したいと思いました。
 願わくは、本尊の威光、益々輝き我々を導き給(たま)わんことを請(こ)い願い、今回の大壇荘厳を為(な)すものであります。

合掌
2025年08月15日